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Cocco 『ザンサイアン』 レビュー

私は、そこまでCoccoファン暦は長いほうじゃないと思う。ただ、 暦は短くても一時期、Coccoは何回も何回も聞いた。延々と。 だからCoccoの復活は純粋にうれしかった。

ザンサイアン

ザンサイアン

今回の第一印象としては…やはり時の流れを感じざる得ないという感じか。 昔のような率直さがどこか欠けてつまらなかった。詞は昔とそんなに変わりないけど、歌が随分おとなしい。どうなんだろう?これは? Coccoも人の親になったということだろうか?

実は、私はシングル化されている『音速パンチ 』はそこまで評価していない。 『陽の照りながら雨の降る』は、『音速パンチ』とはまた趣向が違うが、これも評価できない。

私は、Coccoの詞自体が好きではあるけど、やはり、メロディアスな音楽をより好むタイプなので、メロディラインがしっかり作られてない曲はあまり好きじゃない。というか何回も聞く気にはなれない。だが…残念ながら、本アルバムは全体的に、メロディラインがタルイ曲が多いのだ。そしてサビに行っても盛り上がりに欠ける。 Coccoの曲は昔から、そこまでメロディをしっかり作ってるとは決していえなかった。そもそもメロディアス系の音楽が売りなのではないのだから。 でも『クムイウタ』を初めとした過去のアルバムが、一枚通して聞けるのは、やっぱりぎりぎり感のあるあの必死さがいいんだろうな。と思う。

そう、今のCoccoの歌声に、もう今を無理に生き急ぐような、あの必死さがもう抜けてしまっている。 だからロックを歌っても優しい。歌声が優しすぎる。 別にそれが悪いことだとは言わない…だけど、今のCoccoが前と同じような曲を歌ってもあまり胸に響かない。だからこそ、今に合わせて方向性を変え、今をちゃんと唄うCoccoが見たかった…それがとても残念だ。

療養(?)中に、沖縄でゆったりとすごしていたのだなぁ…と感じる点は、ところどころに見られる沖縄民謡の雰囲気。『陽の照りながら雨の降る』なんてモロだし、『Happy Ending』のサビなんて、思いっきり沖縄民謡の曲調じゃないか!『唄い人』もどことなく…(←というかそう感じるのはバックのギターが原因では?) ま、いいんだけど。

ひょっとしたら、このアルバムで、私が唯一評価しているのは、『愛うらら』だけかもしれない。 Aメロ→Bメロ→メロの流れが模範的で聞いてて気持ちがいい。 流れとしては王道なんだけど、Aメロ→Bメロへの切り替えは新鮮だし、そこからサビへの流れも非常に自然かつ新しい。 これが、いわゆるエモ系の音楽というものなのだろうね。以前と代わり映えはしないが、非常にCoccoらしい一曲だと思う。声の色が透明なのに、バックのサウンドは結構ロックなのも好きだ。

あと『野火』とか、すっごい根岸さんっぽい編曲で聞いててうれしかった。

Cocco特集が掲載されていた、ロッキングオンジャパン 2006・7月号を立ち読みしたんだけど(改めて買おうと思ったら売切れてた)、そこで描かれてたCoccoの傍若無人さに苦笑。根岸さんに少し同情してしまった。

ちょっときびしめの感想だったけど、それくらい期待してたので…でも応援し続けますよ。Coccoは好きですから。

※DVD感想は、後ほど