それでも人生にイエスと言う

もう、ただの日記だに

【小説】「下町ロケット」読みました

一度、積み本となっていた本でしたが、読むときは一気に読めました。読み進めながらじっくり熟考する作品というわけではなくて、エンターテイメント作品ですね。だからさーっと読めてしまうんですけど、決して軽くてチープな話というわけではなくて、仕事するという事。夢を追うという事。生きるために戦うという事。そして仲間と同じ方向に向かって動く力の大きさ。いろんなエピソードがちりばめられてます。

下町ロケット

下町ロケット

私も一時は研究職を目指していたので、研究者としての佃社長にはいろいろ共感できる部分がありました。ただ、夢は研究者の頃と同じ「ロケットを飛ばす」だったとしても、彼はちゃんと経営者でしたね。

ビジョナリーで新しい未来を追い求めるのは研究者と経営者に共通すること。では、両者の最も大きな違いは何か?それは「研究者は孤独だけど、経営者には仲間がいる」ということだと、私は思います。研究者にだってね、仲間はいますよ。議論したり、切磋琢磨できる仲間。でも結局、実行は一人きりです。それに引き換え、経営者には同じ目的達成のために動いてくれる仲間が数十人、数百人規模でいるのです。

それがいわゆる社員なのですが、彼らは経営者が提示するビジョンに100%心酔して集まるわけではありません。そこには、明らかな利害関係があります。彼らは給料という対価のもとで、ビジョン実現の為に動きます。ただ、その利害関係が永遠に保障されているわけでもありません。ビジョンが高ければ高いほど、多くのことにチャレンジしてリスクを負う事も必要になります。絶対に失敗しない会社なんて存在しない。だったら、共感できるビジョンを掲げている会社を選ぼうじゃないか。

と、私の中では、そういう集合体が“会社”ってイメージなのです(勝手なイメージですが)。特にこの下町ロケットの佃製作所の社員はそんな感じがする。

ただ、作中では佃社長が夢実現の為に新しくチャレンジしようとした時に、若手社員が反旗を翻す場面があります。経営者視点からいえば、"会社"であるからこそ、スケールの大きい事を"今"(まさに今!)実行できるチャンスがあるのです。しかし、そのチャンスにチャレンジするにはリスクもあるわけで。集う仲間がいればいるほど、そのリスクを取る際の責任はますます重くなる。苦しい。佃社長。悩む。悩む。わーどうするの!佃社長!?若手社員の心が離れそうになった時に、どう彼らの気持ちを動かす!?ここで経営者としての手腕を見せるのか!?と期待してたんだけど…なんか外部要因で案外早くカタがついてしまってましたよね(笑)少しひょうしぬけをしちゃった。もちろん、あの時、佃プライドが生まれたのは、日頃からの会社に対する親愛と誇りがなければ生まれなかったでしょうから、そういう意味では佃社長の功績なんでしょう。

と…私が、なんか堅苦しく経営を語ってもそこが浅いのが見えてるので、もっとライトに感想を書くとしますか。この作品は、経営とか研究とかなーーーんも考えなくても、誰もが楽しめる至高のエンターテイメント作品です。この爽快感とか作中に漂うプラスの空気感、そして程よいハラハラ。こりゃさぞかし、ドラマとか映画にしやすいんだろうなーって読み終わってから冷静に考えちゃいましたww。全体を通じてサクセスストーリーなのもいいですね。 ちなみに、奥田英朗の「最悪」とか、同じ下町工場の社長が主要人物ですが、もう見てらんないくらい辛いです。これはあまりお勧めしない。割と好きですがw

あ、ちなみに私の研究者のイメージは心理学分野の研究者のイメージです。私の専門は心理だったので。研究内容によってはチームで動くことも多くあると思います。あしからず。と、ココまで書いて、なんとなく研究者は線。経営者は点というイメージがぴったりな気がしてきました。これに関してはまた今度まとめてみます。